北斎の富士
京都駅の「美術館「えき」」で催されている「北斎の富士ー富嶽三十六景と富嶽百景」展を観に行ってきました。
浮世絵師として活躍した70年の間に多くの美人画、風景画、花鳥画、武者絵、洋風画、狂歌絵本の作品を手がけた北斎。
今回の展覧会では浮世絵師としての北斎を不動の地とした「富嶽三十六景」と「富嶽百景」すべての作品が展示されています。
富士を描いた三十六景は風景画というジャンルを浮世絵の中に北斎が定着させましたし、また大変好評であったため、後に10図が追加されたのが今私たちが目にする一連の作品。
そして富嶽百景は、半絵紙3冊により構成された絵本で、102図それぞれに富士があしらわれています。
北斎の素晴らしさは、ジャポニズム旋風を巻き起こすほど絶大な影響を海外の芸術家たちに与えたことで知られるようにー印象派の画家たち、ゴッホ、マネ、ドガ、モネ、ルノワールなどや、アール・ヌーヴォーの芸術家たちや音楽家たちにもー 今さら言うまでもないけれど、間近で観る、しかも富嶽三十六景と百景すべてをずらりと観ることができる、というのはとても壮観でした。
黄金比と言われる緊張感みなぎる見事なバランスである北斎の切り取る構図は、ひとつひとつの置かれている場所がここしかあり得ないという絶妙さ。
それが躍動感を生み、遠近感や立体感を観る者に感じさせてくれます。
この構図の切り取り方は生まれ持ったセンス!才能なんだろうなー。
また、目を引かれたのは波、海の描かれ方。
波頭、波濤、波際、荒波、静波、青海波…
動きあるとらえどころのない波を線で描く、ということは画期的だったことだろう、と今もいくど目にしても斬新で新鮮に目にうつる描かれ方がとても印象的でした。
北斎の富士ー富嶽三十六景と富嶽百景 展 1月22日まで
美術館「えき」 JR伊勢丹7階隣接 075-352-1111
美豊ホームページ http://homepage3.nifty.com/bi_ho
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